10年以上前に、『仕事は楽しいかね?』(デイル・ドーテン)という書籍が流行りました。僕もそのブームの時に読んでみたのですが、正直あまり響かなかった記憶があります。
特に間違っていることを言っている気もしないけど、何と言うか「で?」「結局どうしたらいいの?」ということがよくわからなかったというか。
久しぶりに読み返してみて、やっとこの本の言いたかったことが腹に落ちたので、本日はこの超有名な自己啓発書を改めてとりあげてみたいと思います。
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※アマゾンの紹介文より
出張の帰りに、大雪のため一昼夜空港のロビーに足止めされた「私」。そこで出会ったある老人に、つい仕事で鬱積(うっせき)した感情をぶつけてしまう。老人は実は、企業トップがアドバイスをほしがるほどの高名な実業家。その含蓄ある言葉に「私」はしだいに仕事観を揺さぶられていく。
本書は、将来への希望もなく日々仕事に追われる主人公が、老人のアドバイスに自己変革のアイデアを見いだしていく物語である。それは、唐突に繰り出される老人の言葉とそれを問いただす「私」の会話で展開していく。たとえば老人は「目標を立てるな」という。「私」は、目標がなければ進歩の度合いが測れず、軌道修正もできないと反論する。しかし老人は、斬新なアイデアや商品がなぜ誕生したかを説き明かし、それらが目前の課題に集中した結果であることを指摘。また、世の中は自分が目標を達成するまで待ってはくれないとも言う。そして「遊び感覚でいろいろやって、成り行きを見守る」「明日は今日と違う自分になる、だよ」などのアドバイスをおくる。
試すこと、日々変化が必要であること、偶然を見落としていること…。本書のこうしたメッセージは特別なものではないが、それを痛切に感じさせる語り口が独特である。「多くの人は他人を凌駕する人材になろうとしているけど、それを他人と同じような人間になることで達成しようとしている」などは、自分を振り返らせるのに十分である。
物語仕立てのビジネス啓発書としては「短編」の部類に入る本書。シンプルながら味わいのある1冊である。
(著者略歴)
ドーテン,デイル
1950年生まれ。アリゾナ州立大学大学院(経済学)卒業後、スタンフォード大学大学院で学ぶ。1980年、マーケティング・リサーチ専門会社、リサーチ・リソーセス(Reserch Resources)を起業し、マクドナルド、3M、P&G、コダックなど大手優良企業を顧客に持つ全米でもトップ・レベルの会社にまで成長させる。1991年、新聞に執筆したコラムが好評を博し、執筆活動を開始。現在米国を代表する人気コラムニスト。氏が執筆するコラムは、100社以上の新聞社に配信され、毎週1000万人以上に愛読されている。執筆活動のかたわら、企業講演、従業員訓練やキャリア・セミナーを主催し、意思決定論、人材育成、キャリア・アップによる能力開発や成功をテーマに独自の理論を展開している
- 世の中の成功やビッグヒットは「偶然」がもたらしている。
【例】
- コカ・コーラは、ある薬局のシロップ状の頭痛薬に試しにソーダ水を入れて売ったことに端を発する
- トールハウスのチョコチップ・クッキーは、あるホテルで作っていたクッキーに刻んだチョコを溶かして生地に混ぜるつもりが、その日は急いでいて刻んだだけのチョコを生地に入れたことに端を発する
- リーバイスは船で行商を行なっていたところ、ズボンが品薄になってしまったために、売れ残ったテント用の汚い帆布を使ってオーバーオールを作らせたことに端を発する
- 偶然はコントロールできるものではないがゆえに、私たちが出来る最善の策は、数多くのことを「試すこと」である
- 「試すこと」に喜びを覚えるようになると良い
前述のように、僕は以前読んだときはこの本が良いとは思えませんでした。もともと僕は学術的な研究書のような本の方が好きで、このように物語形式の本はイライラしてしまうところがあって(「いいから結論だけ言えよ!」と言いたくなってしまう)、余計にあまりいいと思えなかったのだと思います。
しかし、久しぶりにこの本を読んでみて、この本の言いたかったことが、ここ数年、色々な「成功法則」を調べて自分なりに結論づけた答えとほとんど変わらないということに気づき、改めてこの本の素晴らしさを理解した次第です。
僕の出した結論は、「『ある1つの仕事に対して、いかに長い時間、一生懸命取り組めるか』という点が、成功をおさめられるかどうかを分ける最大のファクターである」ということです。別の言葉で言えば、「1万時間の法則」というヤツです。
短期的な成功だったり、運の要素が大きい成功の仕方は、また別のやり方があるのでしょう。ただ、一番堅実で一番確実性の高い成功の仕方で考えたら、上記よりも優れた方法論は存在しないと僕は確信しています。
それはつまり、1つのことをずっとやっていれば、そのうちコツがつかめてきて、技術や品質が高くなり、より創造的なやり方が浮かんできて、その創造的なやり方を何度も何度も試すうちに、その中で1つくらい、ビッグヒットを生むようなアイデアが含まれてくるはず、ということです。
これを本書では、「試すこと」と表現しているのでしょう。(ちなみに10年以上前に参加したセミナーで、堀江貴文氏も同じようなことを発言していた記憶があります)
付け加えて言うのであれば、僕はただ漫然と「試す」ことだけでいいとは決して思いません。何故なら「試す」ことを目的としたら、失敗を繰り返すうちに心が折れてしまうのではないかと思うからです。(本書では人は「試す」ことが大好きだと書いてありますが、僕はそれは人によると思います。)
一番いいのは、「好きなことに取り組んでいるうちに自然といろんなやり方を試していた」ということだと思うのです。だから僕は順番としては、「好きなことを見つけてそれに取り組むこと」がまず一番最初に取り組むべきことだと思っています。
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