アスリートが最高のパフォーマンスを発揮できる日と、まったく不振で終わってしまう日があります。
この違いは何によって生じるのか?という点をスポーツ科学の立場から調べた研究例があります。
本日はこれを見ていきたいと思います。
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※アマゾンの紹介文より
メンタル・タフネス・トレーニングがもてる実力を最大限に引き出す。サバティーニ、クーリエ、松岡修造ら一流プロスポーツ選手のメンタル・タフネス・トレーニングを担当したスポーツ心理学の権威がそのプログラムをビジネスに応用。
(著者略歴)
レーヤー,ジム
メンタル・タフネスのトレーニング・システムを早くから開発・実践し、高い評価を受けているスポーツ心理学の権威。USPTA/USPTR両プロテニス協会に認められた唯一のマスタープロとしてナブラチロワ、サバティーニ、セレス、クーリエ、松岡修造などトップ・テニスプレーヤーを指導。その他、プロゴルフ、大リーグ、プロアイスホッケーなどで、トップ・アスリートのメンタル・トレーニングを行ってきた。スピード・スケート界のスター、ダン・ジャンセンを1994年冬季オリンピックで金メダル獲得に導いた。1980年頃からはメンタル・タフネスをビジネスの分野に応用し、AT&T、IBM、アップルコンピュータ、東芝USAなど数多くのアメリカ有力企業を指導し、多くの注目と賞賛を得ている
- アスリートが自分のベストなパフォーマンスを発揮する時は心理的な共通点があり、それは「精神的落ち着き」「肉体的リラックス」「不安の解消」「高い意欲」「楽観的な態度」「楽しさ」「無理のない努力」「自然さ」「注意力」「集中力」「自信」「自己コントロール」などの状態にあることがわかった
- これを「IPS(Ideal Performance State:理想的な心理状態)」と言う
- ジム・レーヤーによれば、この状態を作るには次のようなことが有効だという
- 態度・姿勢:自分の望むマインドセットを作る
- モチベーション:強い目的意識や目標を持つ
- 視覚化:理想の状態をイメージ(視覚化)する
- エクササイズ:適切な運動プログラムを行なう
- ダイエット:適度な食事をとる
- 呼吸コントロール:適切な呼吸法(腹式呼吸など)を行なう
- ユーモア:ユーモアを見出す
- リチュアル:ジンクス的な「癖」を作る
■思考改造
- 身につけたい思考態度を紙に書き、自分が洗脳されるまで何度も何度も読むとその思考態度が身につく
- テニスプレイヤーのトム・ガリクソンは、タイ・ブレークになると緊張して神経質になることを悩んでいた。そこで、「ガリクソンはタイ・ブレークが大好きだ」と書いた紙を家中に貼り、いつもこの言葉を口にして、紙に書きつけた
- この思考改造により彼は、苦手だったタイ・ブレークを11試合中9試合はとるころができるようになった
■望む姿のように振る舞う
- 自分が望んでいるような自分であるように振る舞うと、望んでいる自分になれる
- アメリカ海兵隊がゴロツキたちを12週間で訓練された兵士に変えた方法は、兵士のように立ち、兵士のように動き、兵士のように食事をさせるというものだった。
- それだけで彼らは兵士のように考え始め、即座に命令に返答し、命令に従って敵を殺せるようになった
上記のように、本書には「理想的な心理状態」になるための複数の方法論が紹介されています。どれもおそらく有効な方法なのでしょうが、個人的には「視覚化」「ユーモア」などはかなり難しいし、「エクササイズ」や「リチュアル」はこれまで試してもあまり効果を感じませんでした。ので、この中で言うと、「態度・姿勢」が最も単純で効果を感じられる方法だと思っています。
それで上記でご紹介した、思考改造はアファメーションに近い方法で、色々な自己啓発書でとりあげられている一方で、科学的にはむしろ悪影響になるという研究結果もあり、なかなか判断が難しいところです。
これまで調べた文献と自分自身の経験を踏まえた僕自身の見解は、「アファメーション法は効果がある。ただし、その文言に疑念を抱いていなければ」という感じです。
例えば、一般の人が「僕はウサイン・ボルトより速く走る」と唱えても、どうしても自分でそれを信じることが出来ず、効果はほとんどないでしょう。けれども、年収500万の人が「年収600万になる」と唱えるのは、そこまで無理のない目標として信じやすく、効果としても期待できるはずです。
この「信じ込む」ということがポイントなので、自分が年収600万円になれるという根拠になるファクトや傍証を集めて認知すると、更に効果が期待できます。例えば自分がそうなっている状態のイメージを貼ったり、「君ならできる!」と言ってくれた人の台詞を書いたり、普段から年収を高めるべく努力したりしていると、更に良いでしょう。
このように、アファメーションがうまくいく場合といかない場合があるのはおそらく、「信じられる内容になっているか、否か」もしくは「もともと信じ込みやすいタイプか、否か」の違いにあるのではないかと考えます。
いずれにしても、本書の著者であるジム・レーヤーはスポーツ心理学の権威であり、その彼がアファメーションに近い方法の効果を認めているのは注目に値すると思われます。
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