以前もとりあげましたが、科学的な目標達成メソッドとして「WOOP」というやり方があり、その効果は様々な実験によって証明されています。
本日はこの「WOOP」について詳しく見ていこうと思います。
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ソースは以下になります。
『成功するには ポジティブ思考を捨てなさい 願望を実行計画に変えるWOOPの法則』(ガブリエル・エッティンゲン)
※アマゾンの紹介文より
夢や目標がある人に向けた定番のアドバイスがある。
ポジティブになろう!悪いことは考えず楽観的になろう!ダイエット、昇進、いい出会いなど、夢が叶った様子を想像すれば、たちまち思考は現実化する!…etc.
しかし著者の研究によれば、「夢見る人」の多くは「実行する人」ではない。非現実的な空想でエネルギーを使い果たし、行動できなくなってしまう。気分がいいのはポジティブ本を読んでいる間だけ、現実に接すればたちまち夢はしぼむ。
たとえば減量プログラムに挑戦中の女性のうち、半数にはスリムになって外出する姿など、成功後のポジティブな夢を想像してもらい、半数にはドーナツの誘惑と必死で闘う姿など、ネガティブな障害を想像してもらった。すると一年後、ダイエットに成功したのはネガティブな障害を想像していたグループだった!
目標を達成するには、ひたすらポジティブに夢見るよりも、理想と現実のギャップに注目し、対策を立てたほうが効果的なのだ。困難も障害もない世界が存在するのは、ポジティブ本のなかだけなのだから。
本書では巷にはびこる安易な「ポジティブシンキング肯定論」に警鐘を鳴らし、科学的かつ実践的な「目標を達成する4つの方法」を提唱する。
(著者略歴)
ガブリエル・エッティンゲン
ニューヨーク大学、ハンブルク大学の心理学教授。認知、感情、行動における思考の影響について記事、書籍、論文を多数執筆。アメリカとドイツに居住している。
- 実験によれば、減量プログラムに参加している25人の肥満女性のうち、「自分は体重が減らせそうだ」と思っていた女性たちの方が、「自分はあまり減量できそうにない」と考えていた女性たちよりも、1年後の体重は平均12kg重かった。
- 片思いの相手がいる大学生103人のうち、将来その人と交際できるだろうと思っていた学生よりも、ネガティブな想像をしていた学生の方が、5カ月後の交際率は高かった。
- 83人の男性大学院生のうち、職を見つけられる可能性を高く見積もっている人ほど、2年後に成功していなかった。
- このように、ポジティブな空想をしていると、かえって行動に対する意欲が失われ、目標達成率を下げることになる。
- メンタル・コントラスティングとは、「頭の中の対比」、つまり、ポジティブな夢を見た後ですぐに、夢へと続く道を阻む現実と対決させること。
- 人間関係の心配ごと、イケメンと知り合うこと、数学の勉強、人に助けを求めることなど、様々な目標を設定して、「メンタル・コントラスティングをするグループ」、「ポジティブな空想だけをするグループ」、「ネガティブな現実だけを思うグループ」などを比較すると、「メンタル・コントラスティングをするグループ」が最も目標の達成率が高かった。
- この「「メンタル・コントラスティング」をより明確にしたメソッドが「WOOP」である。
- WOOPは自由な発想とイメージを必要とするため、心の平穏と静けさを味わえる人気のない場所で行なう。
- 初めての時は15~20分ほどかかる。慣れてくるにつれて、2~3分で出来るようになる。
- まず「Wish(願い)」。リラックスして、深呼吸して、私生活あるいは仕事上の願いか心配事を1つ考える。簡単ではないが一定期間のうちに達成できると思うこと。複数ある場合には最重要なものを1つ選ぶ。
- 次に「Outcome(結果)」。願いを達成する、あるいは心配事を解決することから連想される、最善のことはなんだろう。それを心の目で見つめよう。真剣に、関連する出来事や経験を出来る限り鮮明に想像すること。恥ずかしがらずに自由に考えて想像しよう。
- 次に「Obstacle(障害)」。望み通りに事が運ばないのは、あなたの中で何が引き留めているのか?あなたの願いを叶えること、または心配ごとの解決することの一番重大な心の中の障害を見つけよう。実現可能な願いを選んだため、外部の障害に関しては除外されているはず。このエクササイズのポイントは、自分の夢の実現を「自分で」阻む「内面の障害」を取り除くことである。それは、疲労や不安かもしれないし、行動、感情、強迫観念、衝動、悪習慣、早合点かもしれない。
- 最後に「Plan(計画)」。障害を充分にイメージできたら、障害を克服または回避するための自分にできる考えや行動で、最も効果的なものを1つ挙げて、心の中にとどめておく。そして、障害がいつ、どこで起きるかを考えて「もし障害Xが起きたら、行動Yを起こす」。この計画を心の中で、もう一度繰り返すこと。
本書、およびこの「WOOP」の特筆すべき点は、一見すると「ポジティブに考えるほど良い結果を生む」というポジティブ心理学の常識や、自己啓発書でおなじみのアファメーション手法などを否定するような心理学実験がもとになっていると思われる点です。
実際にガブリエル・エッティンゲン教授が行なった実験結果からは、「ポジティブな想像をしていると目標達成の妨げになる」という見解が示唆されます。これをどのように考えればよいのでしょうか?
僕が気になったのは、この実験内容とアファメーションなどのやり方が微妙に異なるという点です。この実験では被験者に「うまくいくだろう」というポジティブな空想をさせていますが、アファメーションでは「既にうまくいった」という事実断定的な言葉を深層心理に植え付けます。逆に「うまくいくだろう」「うまくいってほしい」という言葉にした場合、裏を返すと「まだうまくいっていない」という事実が深層心理に植え付けられてしまうため、アファメーションの世界では禁止されています。ガブリエル・エッティンゲン教授が行なった実験では上記のような理由から目標達成率が落ちてしまったのではないかと推測されます。
逆に、例えば認知科学を専門とする苫米地英人博士によれば、アファメーションのメカニズムは「認知的不協和」理論によって説明できるとしています。これは、「既に目標が叶った仮想現実」と「まだ叶っていない現実」という矛盾する現実を認知することで、認知的不協和を生じさせ、「まだ叶っていない現実」を「目標が叶った現実」へと変えていくように自分を仕向けていく、ということです。そしてこのメカニズムは、エッティンゲン教授の提唱する「メンタル・コントラスティング」のメカニズムとほとんど同じと考えられます。
というわけで、「WOOP」とアファメーション法はそこまで矛盾しないどころか、どちらも心理学的な根拠を持つ手法であると考えます。
ただし、どんなにステキな目標を描いても行動に移さなければ何も変わらない、というのはエッティンゲン教授の言う通りであると思うので、目標の障害になっていることをどう克服するか、この計画立案とその遂行こそが重要であることは間違いありません。
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